妖怪人間ベム Ep5

第4話の感想その2を書こうと思っていて書く時間がとれないまま第5話を見てしまい、第5話の感想をまだ書いていないのに、今日はもう第6話の放送日です。もっともっともっと、ベムについて語りたいのに!!!

というわけで、第5話ですが。いやあ、今回も、いいお話だったなあ。今回は、ベム一家の正体を知ってしまった夏目さんのお話がメインだったので、事件と犯人さんのパートが少なくて、今までのように犯人さん側にすっごく感情移入してしまって辛い、という事がなく、今までで一番、ベム梨くん素敵、ベム梨くん素敵、ベム梨くん素敵!!!と、亀担として純粋に萌えられた回でした。

私はおうちでジャケットを脱いでいる時のベムの、斜め後ろから撮った上半身が好きです。半裸のクビレももちろん良いんだけど、ニットを1枚着てその下にうかがえるラインも良いものですな〜にへら〜

さて。原作のキャラクター設定とはまったく違う(らしい)、若く、美しく、苦悩する、ベム。ここまで見て来てやっと、私にも、ベムを亀梨くんがやる事の意義が、見えてきたような気がしています。

あまりに正しすぎるベム梨くんのお説教タイム♪っていう奴に、反感や、違和感を感じている人を、時々みかけるのですが、それこそが、亀梨くんがベム役である事の意義だと思うんです。あのお説教を、大柄な中年男性に超然とやられたら、彼に比べたらほとんどが社会的弱者という事になってしまう視聴者は、なおさら反感しか覚えないと思います。大人にはわからない、若いものにはわかるまい、健康なやつに言われたくない、男にはわからない、そんな風に。そうしたら、この作品は完全に、お子様向けの、単純な、変身ヒーロー物としてしか、成立しなくなってしまう。

一番わかりやすい例は、ベロが放火犯のところに家でした第4話かな、やっぱり。アラフォーシングルの「おばちゃん」が、幸せそうな普通の家庭が羨ましくて連続放火犯になってしまった回ですが。あそこは、平成風に優しさでコーティングして、「あなたはお仕事をきちんとやってきたじゃない。あなたは偉い、よくがんばった、自分で自分を誉めてあげなさい、ね。よしよし。」みたいなセリフを書く事も、そんな言い方をすることもできるはず。でも、ベムのセリフは、あくまでも手厳しい。

ベムは、視聴者と違って、スライム男の暗躍を知らないっていう事も、お説教タイム♪のセリフの手厳しさの理由の1つでしょうけど、ここはやはり、それはベムが妖怪であるからだ、と、いうのが強いんじゃないかな。ベムはどんなに長く生きてきたとしても、それは妖怪としてであって、人間として、人間と関わって、社会の一部として人生経験を積んで、人間として成長したり、擦り減ったりしてきたわけではないから。正義感と道徳心に関しては、人間の子供と同じようなのでしょう。

それから、お説教タイムのベムは、大事な人のために怒っている、というのは大きいですよね。視聴者は、犯人さんにも感情移入してしまっているけれど、ベムにしてみれば、夏目さんやベラベロを傷つけられて、怒り心頭に達し、犯人さんを思い遣っている場合ではないから変身しているわけで。怒りに我を忘れ、暴走し、ギリギリのところで止めてもらっているくらいですから。

そんなベムの未熟さ、それゆえの純粋さ、それは、ベムが中年ではなく若い亀梨くんだから、表現できているのだと思います。そこが、アニメのベムには託されていなかった設定なのでしょう。

ドラマの妖怪人間たちは、多くのヒーローのように、完全な正義として描かれているわけではない。犯人を完全に悪人として描いていない事とも合わせて、それが物語に深みを持たせ、このドラマを原作から数十年たった現代でも、大人の鑑賞に耐える作品にしているのだと思います。

彼らは善悪を定める神のような存在ではなく、彼らが味方したほうが正義とされる、従来型のヒーローでもない。時には人間以上に弱く、悩み、苦しみ、迷いながら、必死で生きている妖怪です。

超人的な能力を持ってはいるけれど、出来ない事も、知らない事も、わからない事もたくさんあって。第一話で語られたように、誰が悪くて、誰が正しくて、誰を助ければ良いのかも、本当にはわからなくて、それでも、助けが必要な人間を助けようという気持ちだけは、失うまいと必死に頑張って、草と干し芋しか食べられないのに(笑)、生きている。

現代版実写のベムは、人生経験をつんで色々悟ったり諦めたりした中年男性が演じても、成立しなかったと思います。アニメのベムとどんなに似ていても、それだけでは駄目。だって、アニメが作られた時とは社会背景が違う、対象年齢が違う、込められたメッセージもおそらく違う。視聴者に呼び起こさせたい感情もまったく違う。原作に沿えば良いってものじゃない。だって、わあ!似てる!すごーい!だなんてのは、いわゆる出落ちってやつで、それだけで3ヶ月引っ張れるようなネタじゃないもの。

アニメの実写化って難しいね。似せれば良いってものではないって、実感しまくりです。そりゃそうか。似ているものを見たいだけなら、本物のアニメを何度も見れば良いだけだもんねえ。原作がある以上、原作とまったく別のものとしての評価を求めるのは難しいと思いますが、原作と異なる部分にこそ、制作側の意図する何かが込められているはずなので、そこをくみ取ったり、推測したり、妄想したりするのが、楽しいんですよね!

さーて。遅ればせながら、これから、第6話ベラちゃんの初恋の巻き、を見るぞ!